明石大久保ゆりのき通/神明クリニック
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神明クリニック
内科・外科・胃腸科・整形外科・
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神戸新聞・折込の、地域の広報にあります「とことん、おおくぼ Okubo.com」の「ドクター西原のいきいき生活通信」で掲載された内容です。ぜひ皆様の生活にお役立てください。

脳卒中(脳梗塞や脳出血)にならないように
私の父は来春で70歳になりますが、毎日よく歩いています。感心するほどによく歩いています。実は、父の身内(私の身内でもありますが)には脳梗塞の方が何人かおられ、その様子をまじかで見てきているので、自分はそうなりたくないと思っているようです。私の父と同じ思いの方はたくさんおられるのではないでしょうか。皆さんが最もかかりたくない病気の一つが脳卒中でしょう。では、どうすれば脳卒中にならないのでしょうか?
脳卒中になる原因は統計的にいくつかはっきりしているものがあります。年齢、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症、肥満などです。この中で、年齢以外は生活習慣の改善や薬物療法などで、コントロール可能なのです。すなわち、脳卒中の予防にはこれらの危険因子をできるだけ少なくし、そして良好にコントロールすることが重要なのです。私の父はこれらの危険因子を四つももっているので、薬を内服しながら、毎日頑張って歩いているというわけです。ですから、脳卒中にならないようにするためには、まず自分自身に先程の危険因子がいくつ該当するか、そしてそれぞれの危険因子は良好にコントロールできているかを確認して下さい。コントロールが十分でなければ、どうすればコントロールが良くなるのか、病院などで相談して下さい。また動脈硬化を評価する検査として、頚動脈エコーや脈波伝播速度(血管年齢)があります。頚動脈エコーは脳へつながる頚動脈を超音波で観察し、動脈の狭窄の程度や血管壁の厚さを調べる検査です。一方、脈波伝播速度は文字通り、心臓から送り出された脈波が伝わる速度のことで、血管が硬いほどその速度は速くなりますので、血管の硬さが推定できるわけです。これらの検査はいずれも簡便であり、また脳梗塞を発症しやすい傾向にあるかどうかの参考にもなりますので、皆さんにおすすめの検査です。
皆さん、脳卒中にならないように、まず危険因子の評価をしてみて下さい。
いきいき生活通信 2008年7月号
不眠について
眠れない夜はなかなかつらいものですね。なんとか眠ってしまおうと、気持ちを落ち着けますが、逆に自分の心拍を強く感じたり、あるいは体を熱く感じるようになり、結局ほとんど眠れずに夜があけてしまいます。最近はこういう場合は無理に眠ろうとせず、テレビをみたり、本を読んだりして、できるだけリラックスするようにしています。少なくともイライラ感は軽減されます。ところで、日本人成人の5人に1人は不眠を自覚し、20人に1人は睡眠薬を服用しているそうです。普段診療をしていると、不眠を訴える患者さんは非常に多いと実感しています。不眠症状が短期間であれば心配ないのですが、たいていは長期間続いており、生活にも支障を来たしています。眠れない理由を尋ねると、特別な原因がないことも多く、あるいは回避できないストレスであったり、不安感だったりします。そもそも人間の体には脳や皮膚、そしていろいろな臓器に体内時計なるものが存在しており、朝目覚めると、光によって体内の時計がリセットされ、日中は活動的に過ごせるようになり、そして暗くなってくるとメラトニンというホルモンが分泌され、眠たくなるようにできているそうです。この体内時計が寝だめや昼寝、あるいは夜に強い光を浴びたり、緊張状態などによって乱れると睡眠障害が起こります。ですから体内時計を正常に保つことが不眠に対して重要です。不眠で困っている方は以下のことを実践してみて下さい。

(1)眠れなくとも毎朝同じ時間に起床する。
(2)朝起きてから光をたくさん浴びる。
(3)昼間はできるだけ外出し、人と話しをするようにする。
(4)昼寝は30分以内にする。
(5)夜遅くにたくさん食べないようにする。(腹の体内時計が乱れます。)

これでも改善できないのであれば、睡眠薬を使用したほうが良い場合もあります。そして睡眠薬はできるだけ必要最少量での内服にしましょう。

いきいき生活通信 2008年6月号
長寿医療制度(後期高齢者医療制度)について
皆さんもご存知かと思いますが、この春から75歳以上の高齢者の医療制度が変わりました。これまでの老人保健制度と比べて何が違うのか要点をまとめてみますと、?ひとりひとりが保険料を納めることになります。これまで扶養家族扱いのため、保険料を納めていなかった方も負担しなくてはいけません。(2年間は軽減措置や特別措置が用意されています。)?保険料は介護保険と同様に年金からの天引きになります。したがって年金の手取り額が減ることになります。?この医療制度は各都道府県に設けられた後期高齢者医療広域連合という新組織によって運営されますので、これまで国保や社保に納めていた保険料も広域連合に納めることになります。?納める保険料は各都道府県によって異なり、また個人個人の年金などの収入によっても違います。各県で75歳以上の高齢者にかかった医療費の1割をその県に住む75歳以上の高齢者で負担することになるのです。?保険料は原則年金からの天引きですが、保険料を現金で納める方もおられます。もし一定期間滞納した場合、保険証を取り上げられ、資格証明書が発行され、一時的ですが、医療費を全額負担することになります。制度はこのように大きく変わるのですが、皆さんの病院での窓口負担はこれまでと変わりなく、また高額医療費の支給も同様です。安心して下さい。最後に、どうしてこの制度ができたかといいますと、高齢者にかかる医療費は現在、全体の医療費の約1/3で、政府はこの医療費をなんとか減らしたいというのが本音です。この制度を作ることで、今後ますます増えるであろう75歳以上の高齢者にかかる医療費を抑制しやすくなると考えられます。医療費が増えれば、負担する保険料も増えると予想されます。あまりに厳しくすると、必要な医療も受けられなくなる可能性があります。この制度、わかりやすくて良いなと思うところもありますが、高齢者の方が不安なく必要な時に必要な医療を受けられるような制度になって欲しいと願います。
いきいき生活通信 2008年5月号
骨粗鬆症について
皆さんは【骨】という言葉で何をイメージしますか?私の場合は犬がかじっている骨でしょうか。そしてそれは、白くて、硬くて、細長い棒状のものというイメージになります。少なくとも、このようなイメージからでは、骨の中で絶えず、ダイナミックな出来事が起こっているとは想像できません。実は骨の中では常に、破骨細胞によって骨が壊され(骨吸収)、骨芽細胞によって骨が作られているのです(骨形成)。このような骨吸収と骨形成による新陳代謝が常に繰り返されているわけです。しかし、加齢や閉経などにより相対的に骨吸収のほうが優位になると、骨密度が減少し、結果的に骨折しやすい状態になります。この状態が骨粗鬆症です。現在、骨粗鬆症患者は年々増加しており、1000万人以上と推計されています。骨粗鬆症の主な症状は椎体の圧迫骨折で腰や背中が曲がったりすることによる痛みや、転倒して大腿骨頸部が骨折して寝たきりになったりすることです。このような辛い思いをしないためにも、骨粗鬆症の早期発見・早期治療が重要になります。早期発見には骨量測定が非常に有用です。そして骨量の減少がみられたら、治療を始めて下さい。治療は主に①運動療法②食事療法③薬物療法に分かれます。①運動療法では有酸素運動や体を伸展させる運動をして下さい。適度な運動負荷によって骨量が増加するといわれています。②食事療法ではカルシウムやビタミンD(カルシウムの吸収を助ける)を中心にタンパク質やマグネシウム、ビタミンC・Kなどを十分摂取して下さい。牛乳・乳製品や大豆製品がおすすめです。③最後に薬物療法ですが、骨吸収を抑制する薬が中心で、いくつかの種類があります。骨粗鬆症の程度や年齢など個々の状況によって使い分けられます。皆さん、骨粗鬆症を軽く考えず、予防できることはしっかりと予防して、いきいきとした生活を送って下さい。
いきいき生活通信 2008年 4月号
特定健診Q&A
今回は4月から始まる特定健診についてQ&A形式で説明してみます。
Q: 対象となるのはどのような人ですか?
A: 40歳~74歳までの医療保険加入者(被扶養者も含む)です。ですからこの年齢の方はほとんどが対象者です。
Q: 必ず受けなければいけないのですか?
A: 必ずということではないのですが、特定健診では実施するのが医療保険者になります。医療保険者というのは私たちが加入している国民健康保険(国保)や政府管掌健康保険などのことです。そして今回からこれらの医療保険者が加入者に対して特定健診を実施するように義務づけられました。受診者数などが少なければ、その医療保険者には罰則が設けられています。したがって各医療保険者は加入者に対して強く受診を勧めるようになると思われます。
Q: 受診するにはどうしたらよいのか?
A: 国保の加入者は市から受診の案内が届くことになります。そしてあらかじめ登録されている医院や病院を受診して健診を受けます。国保以外の加入者は各医療保険者から案内があります。
Q: これまでの健診と内容が違うのですか?
A: 大きく違うのは腹囲の測定があることと健診の結果によって保健指導があることです。すなわちこの健診の目的はメタボリックシンドロームの該当者や予備軍を早期発見し、保健指導を行うことで、糖尿病などの生活習慣病を減少させることにあります。ですからメタボ健診とも言われています。
Q: 高血圧や糖尿病の治療を受けている場合はどうなるのか?
A: すでに服薬治療などを受けている場合は上記の保健指導は対象外です。
       
Q: 特定健診および保健指導の費用は?
A: 国保加入者は各市町村によって違います。明石市は現在協議中です。国保以外の加入者は各医療保険者によって違います。
Q: 75歳以上の高齢者の健診はどうなるのか?
A: 75歳以上の方は後期高齢者健診が行われる予定です。
Q: これまでのがん検診はどうなるのか?
A: 明石市では現在、国保加入者および希望者に対してがん検診を行っていますが、今後も変わりなく行われるとのことです。安心して下さい。
最後に特定健診の最大の目的は生活習慣病を減少させ、医療費を減らすことにあるのです が、このメタボ健診、皆さんはどう思われますか。
いきいき生活通信 2008年 3月号
今、話題の万能細胞について
骨髄移植を希望する全ての患者さんが移植を受けられたら、どんなに心強いことでしょうか。神経の損傷などで、車いすの生活を余儀なくされている患者さんが歩けるようになるのは、どんなにうれしいことでしょうか。小児期からインスリン治療を行っている重症の糖尿病患者さんの病気が治ったら、どんなにすばらしいことでしょうか。これらの夢の治療が私の中で少しずつ現実味を帯びてきています。私が大学院生の頃からこれらの再生医療は非常に活発に研究されていましたが、私はどちらかといえば、冷ややかな目で見ていました。そんなことは不可能だろうと。再生医療において最も可能性のあるのはES細胞(胚性幹細胞)です。ES細胞は神経細胞や筋肉細胞、血液細胞などへと分化しうるおおもとの細胞であり、いずれ胎児へと成長していく初期胚から得られます。すなわち手を加えなければ初期胚はヒトになりうるわけです。したがって倫理的な問題があり、先進国ではES細胞の研究は限定的に認められている状況です。また、効率よく安全にES細胞を取り出す技術もまだ不十分でした。ところが、もしこのES細胞が、私たちの皮膚から取り出した細胞(線維芽細胞など)から作ることができればどうでしょうか。倫理的な問題はありません。昨年秋に京都大学の山中教授らのチームがES細胞に似た細胞(人工多能性幹細胞)をヒトの皮膚の細胞から作ることに成功したのです。4つの遺伝子を皮膚の細胞に導入することで、いろんな細胞に分化しうる万能細胞に変化したのです。この発表を受けて、再生医療は今後、この万能細胞中心に展開していくようです。もちろん、まだまだ乗り越えていかなければいけない問題はたくさんあるのですが、これからは熱い眼差しで応援していきたいと思っています。
いきいき生活通信 2008年 2月号
慢性腎臓病が注目されています!
現在、透析患者さんは毎年1万人前後増え続けており、500人に1人が透析を受けている状況です。このまま増え続けると医療経済的にも大変なことになります。また腎臓の機能が低下するほど心臓や血管の病気が起こりやすいこともはっきりとわかってきました。そこで、腎臓の機能が少しでも低下してきたら(慢性腎臓病の状態)、しっかりと治療を行い、できるだけ進行しないようにしていきましょうということで、このたび、日本腎臓学会より私たち医療関係者に対して、診療ガイドが示されました。私自身も透析医療に携わっておりますので、普段から患者さんと話しをしていて感じていたことがあります。それは患者さんの多くが、かなり悪くなるまで腎臓病に対する認識がなく、透析が回避できない状態になって初めて、病気に対して自覚するようになることです。時すでに遅しです。これは患者さんだけの問題ではありません。私たち医療関係者がどのくらいしっかりと慢性腎臓病の患者さんに説明や治療を行ってきたのかという問題もあるのです。このたび出版された慢性腎臓病に対する診療ガイドは非常に有用であり、私たち医師も本気で慢性腎臓病に対して取り組まないといけないと実感しております。さて慢性腎臓病についてですが、慢性腎臓病とは3ヶ月以上腎臓の機能が低下した状態や尿蛋白陽性などの腎疾患を示す所見が続く場合と定義されています。腎臓の機能が低下する最も大きな要因は加齢なのですが、それ以外には高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙や血尿などがあります。これらのリスクのある方は特に注意が必要です。診断は尿検査と血液検査である程度できますので、皆さんも検診などを利用して必ずチェックして下さい。そして慢性腎臓病と診断されれば、その原因も含めてできるだけ早く治療や指導を受けて下さい。
いきいき生活通信 2008年 1月号
ノロウイルスによる胃腸炎について
昨年の今頃、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行したことを覚えていますか。私自身も実は昨年ノロウイルスに罹りました。就寝中に急に腹痛で目がさめ、続いて水様性の下痢が頻回にみられました。その夜は結局、10分おきにトイレに駆け込むことになりました。少しパニックになりながらも、ちょうどノロウイルスによる胃腸炎が流行していた時期で、症状から自分で勝手にノロウイルスによる胃腸炎と診断しました。感染経路ははっきりしなかったのですが、家族の中で感染したのは私だけでしたので、普段の生活の中で、私自身が少し、感染に対して油断していたのではないかと反省しております。さてノロウイルスについてですが、一般的には感染すると24~48時間で発症し、吐き気、下痢、腹痛などの症状がみられ(発熱は軽度)、2日程で治癒します。感染経路はほとんどが経口感染で、食品では二枚貝を十分加熱せずに食べた場合などがあるのですが、私の印象では、ノロウイルスに感染した人が調理をした際に、食品や調理器具が汚染され(二次汚染)、感染するケースが多いように思います。あるいは感染者の吐物やふん便を介しての二次感染やヒトからヒトへの直接感染も多いように思います。ですから、感染を予防するには、まず皆さんが普段からしっかりと手洗いをすること(特に調理前、食事前、トイレの後)、乳幼児や高齢者の方に嘔吐や下痢がみられた場合は、その中に大量のノロウイルスが含まれている可能性がありますので、マスクと手袋を着用し、飛び散らないように静かに拭き取るようにして下さい。そしてできれば次亜塩素酸ナトリウム(ノロウイルスは次亜塩素酸ナトリウムで失活するとされています)で消毒して下さい。発症した場合は、食事療法が最も重要です。固形物は避けて、スポーツドリンクなどを少しずつ摂取し、症状が改善してきたら、お粥やうどん(蛋白質と脂肪は避けましょう)を食べてみて、問題なければ段階的に普通の食事に戻して下さい。脱水がもっとも心配ですので、もし脱水症状がみられるようでしたら、点滴が必要です。その時は医療機関を受診して下さい。
いきいき生活通信 12月号
インフルエンザの予防接種について
皆さんはもうインフルエンザの予防接種は受けられましたか。昨冬はあまり流行しませんでしたが、この冬はわかりません。そして治療薬であるタミフルが随分と問題になりました。インフルエンザは予防することが大切ですので、個人的には予防接種をお勧めします。ワクチンを接種すると2週間程度で効果がみられ、5ヶ月間持続するとされています。インフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心ですので、12月上旬頃までに接種をされるのが良いでしょう。接種回数ですが、13歳未満(1歳以上)はインフルエンザの免疫がまだ不十分であること、そして接種回数を増やすことで更に免疫力が上がる(ブースター効果)ことから、2回接種が推奨されています。この場合、2回目は1~4週間あけて下さい。65歳以上の方にはこのブースター効果は明らかになっておりませんので、1回の接種となります。13~65歳までの方は状況(ワクチンの接種歴やインフルエンザの罹患歴など)に応じて1~2回接種して下さい。次に予防接種の効果についてですが、これは年度によって違っています。インフルエンザウイルスは毎年小さな変異を起します。簡単にいうと若干姿形を変えるのです。この変化が大きいとワクチンの効果は少なく、大流行を起したりします。この変化が予想された範囲内であれば、効果は十分期待できます。ワクチンはインフルエンザによる重篤な合併症や死亡を防ぐ効果があります。私も予防接種を受けたにもかかわらず、インフルエンザに罹ったことがありますが、その時は高い熱もでず、普通の風邪だとばかり思っていました。また完全ではありませんが、発症そのものを予防する効果も認められます。最後にワクチンの副作用ですが、接種部位の発赤や腫脹、発熱や頭痛などが10%前後にみられますが、通常は軽微で、2~3日で消失します。重篤な副作用はほとんどありません。また卵アレルギーの方は、鶏卵を食べてひどいアレルギー症状(蕁麻疹や口腔内のしびれなど)がでる方でなければ大丈夫です。皆さん、インフルエンザに罹った時のことを考えて、予防接種を受けるかどうか判断して下さい。
いきいき生活通信 11月号
機能性胃腸症について
皆さんは機能性胃腸症という疾患名をご存知でしょうか?先日、安部元総理大臣が慶応大学病院に入院された際に機能性胃腸障害という言葉が使われていました。胃痛や胃部不快感、腹部膨満感などの症状があるけれど、検査をしても異常がみられない場合に、機能性胃腸症が疑われます。以前は神経性胃炎や慢性胃炎と言われていたものがこれに該当します。日常の診療の中では、比較的よくみられ、おそらく皆さんも心当たりがあるのではないでしょうか。例えば極度の緊張状態の時に、胃が痛くなったり、食欲がなかったりしたことはありませんか。僕自身、何度か経験したことがあります。どうして検査をしても異常がないのに、胃が痛くなったりするのでしょうか。その理由を説明すると、脳と胃腸とは関係が深く、脳で感じる心理的な変化や精神的なダメージは、胃腸に対して影響を及ぼしやすいのです。そして胃腸の運動は自律神経に支配されています。自律神経には胃腸の働きを抑える交感神経と活発にする副交感神経があり、緊張状態の時には交感神経が優位になります。したがって過度の緊張やストレスが続くと、交感神経が優位になり、胃腸の働きは抑えられ、消化しにくくなります。このようにして食欲がなくなったりするのです。一方、交感神経が高まると、副交感神経もバランスを保とうとして刺激を受け、一時的に、過度に胃酸が分泌されたりします。そして胃が痛くなったりするのです。おわかりになりましたか。すなわち、緊張やストレスが続くと自律神経のバランスが崩れ、さまざまな胃腸症状を引き起こします。そして、ひどい場合には栄養障害がみられたり、胃潰瘍ができたりすることがあるのです。治療は胃酸の分泌を抑えたり、胃の働きを良くする薬が有効です。また、不規則な生活や暴飲暴食などでも起こりますので、気をつけて下さい。そしてストレスとは上手に付き合いましょう。
いきいき生活通信 10月号
尿酸値の高い方へ
今回は、「尿酸値が高い場合、どうなるのか、そしてどうすべきなのか」について書いてみます。尿酸値が高いとどうなるのかといいますと約10%の方に痛風発作が起こります。これは主に足の親指のつけ根などに起こる関節炎であり、かなり痛いです。一度経験すると、もう懲り懲りのようです。では発作の起こらない方は放置しても大丈夫なのでしょうか?それは違います。痛みを伴わない場合も、用心すべきなのです。高尿酸血症は大部分が過食や肥満、飲酒が原因であるため、生活習慣病(脂質異常症や糖尿病など)と密接に関連していると考えられています。すなわち、高尿酸血症を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患に結びつくと考えて下さい。そう考えると心配になりませんか。では、どうすればいいのでしょうか。やはり生活習慣の改善が重要になります。まず食事療法です。尿酸は肝臓で、プリン体というものから作られます。ですからプリン体を少なくすればいいのです。プリン体を多く含む食べ物は肉(レバー)、魚(いわしやカツオ)、ウニ、えびや納豆などですので、これらは控えめにして下さい。ただし、尿酸は食事中のプリン体だけではなく、体の中にすでにあるプリン体からも作られますので、体質的なことも関係しています。この場合は薬が必要になるでしょう。そして体重が増加すると尿酸値も増加する傾向にありますので、肥満のある方は当然カロリー制限も必要になります。次に重要なことは飲酒の制限です。ビールはプリン体が多く含まれていますので、できれば止めたほうが良いでしょう。ただ他のアルコールなら問題ないかというと、過剰に摂取すると、カロリーも多くなり、また尿酸の排泄も悪くなりますので、一日一合までにしましょう。ただし、痛風発作の既往のある方や尿酸値が8mg/dlを超えている方は薬も併用したほうが安心です。皆さん、尿酸の値は大丈夫ですか?
いきいき生活通信 9月号
便潜血検査のすすめ
僕は医者になって15年になりますが、この間、患者さんに対して数々の検査を行ってきました。その中で、これは良い検査で是非、患者さんにも薦めたい検査というのがいくつかあります。例えば便の潜血検査もそのひとつです。特に症状がなくても、この検査で潜血反応が陽性であったために、精密検査(たいていは大腸内視鏡)を行ったところ、大腸癌がみつかったということが、何度もありました。症状がなくてもみつかったというところが、非常に重要なところです。実際に、症状がでてきてからでは、時すでに遅しといことも何度もありました。症状がない時期、それはすなわち早期癌の時期と重なることが多いのです。そして早期癌の時期に治療ができれば、完全に治る確率も非常に高くなります。便潜血陽性の人が癌である確率は約3%といわれています。また進行癌であれば90%、早期癌であれば50%が陽性になるとされています。僕のこれまでの経験でも、おおよそこれぐらいだと実感しています。皆さんはこの数字を聞いて、どう思われますか。確かに大腸内視鏡検査をすれば、癌を見落とす確率はきわめて少なくなりますが、症状がない方がこの検査を受けるのは、抵抗があると思います。一方、便潜血検査は、痛みは全く伴いませんし、費用も安く済みます。また市検診にも取り入れられています。便の検査だけで、早期癌を約50%スクリーニングすることができることは、僕はすばらしいと感じています。そして毎年検査をすれば、大腸癌を早い時期にみつけられる可能性が高いことは想像に難くないのではないでしょうか。現在、大腸癌は増加傾向にあり、悪性新生物による死亡者数では肺癌、胃癌についで第3位です。今後まだまだ増えると考えられています。僕が便潜血検査をすすめる理由がわかっていただけたでしょうか。
いきいき生活通信 8月号
おなかの脂肪が気になる方へ
BMI(body mass index)という言葉を耳にしたことはありませんか。
BMIとは肥満度をみる指標で、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます。
18.5以上~25未満までが標準で、25以上は肥満となります。BMIが22のとき最も病気にかかりにくいとされています。あなたのBMIはどのくらいですか?僕のBMIは24.7でした。
最近、おなかもでてきたので、少し運動を始めたところです。おなかがでてくるとやはり気になるのが、内臓脂肪です。
以前、CTスキャンで内臓脂肪を測定したのですが、とても紙面上では公表できない数値でした。100cm2以上ある場合は内臓脂肪型肥満と定義されています。
この数値は臍部でのウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上と相関します。そして、内蔵脂肪が多いと脂肪細胞から分泌される物質などによって、糖代謝異常、脂質異常症(高脂血症)、高血圧などの病態が出現しやすくなります。
これらの病態がたとえ軽くても、集積することで動脈硬化性疾患(脳梗塞や心筋梗塞)の発症に影響すると考えられています。これがいわゆるメタボリックシンドロームです。
すなわち、糖尿病や脂質異常症、高血圧がいずれも非常に軽度で、安心しておられる方でも、内臓脂肪が多ければ、脳梗塞や心筋梗塞になりやすいということです。
少し不安になりませんか。他人事ではなかったので、僕はようやく最近になって運動を始めました。具体的には、腕立て伏せと腹筋・背筋を鍛えています。
今後は、ウォーキングを取り入れていきたいと思っています。
皆さんも、内臓脂肪が気になる方は是非、生活の中にウォーキングを取り入れて下さい。
いきいき生活通信 7月号
“脂質異常症”って何?
最近、日本動脈硬化学会より動脈硬化に関してのガイドラインの改訂版が発表されました。
その中で、高脂血症の変わりに“脂質異常症”という言葉が使われています。これまで血液検査で総コレステロールが高い場合や中性脂肪が高い場合は一括して高脂血症と呼ばれていました。
なぜ脂質異常症という言葉を使うようになったかといいますと、総コレステロールの中には善玉コレステロール(HDLコレステロール)や悪玉コレステロール(LDLコレステロール)などが含まれており、善玉コレステロールが低い場合や悪玉コレステロールが高い場合は心筋梗塞や狭心症といった冠動脈疾患になりやすいことがわかっています。
すなわちコレステロールが高くなくても、善玉コレステロールが低かったり、悪玉コレステロールが高い場合はあるわけで、総コレステロールの数値より善玉や悪玉の数値が重要なのです。
善玉コレステロールが低いのに高脂血症というのも、確かに変な気がしますね。
今回の改訂では、脂質異常症の診断には善玉コレステロールと悪玉コレステロールと中性脂肪の値が必要であり、皆さんがなじみのある総コレステロールの値は必要なくなりました。
これまで検診などでは、総コレステロールと善玉コレステロールと中性脂肪を測定することが一般的でした。
悪玉コレステロールはあまり測定されていませんでしたが、次の計算式で求めることができます。
(悪玉コレステロール)=(総コレステロール)-(善玉コレステロール)-1/5×(中性脂肪)です。
※ただしこの計算式は中性脂肪の値が400mg/dl未満の時のみ有効です。
皆さん、これまでのデータがあれば一度、善玉、悪玉、そして中性脂肪の値を確認してみて下さい。そして脂質異常症の方は、まず生活習慣を改善しましょう。
いきいき生活通信 6月号
糖尿病が心配な方へ
「もしかしたら、糖尿病かもしれない」と思ったことがありませんか。2002年の厚生労働省の調査では、糖尿病または糖尿病予備軍は全国で1620万人いると推定されており、年々増加すると考えられています。
糖尿病の症状として、口渇、多尿、体重減少はよく知られていますが、これらの症状がみられる場合は、かなり血糖が高い場合です。
症状がない場合も多くみられ、糖尿病の合併症が出現して初めて糖尿病に気付く場合もあります。
自覚症状がある場合は早めに医療機関を受診して、血糖などをチェックして下さい。
また自覚症状がない場合でも、40歳以上の方は年に一回は会社や市の検診などを利用して糖尿病の検査を受けて下さい。
食事療法をしたくないとかインスリンを打ちたくないという理由で糖尿病から逃げていると、後で後悔することになりますよ。
糖尿病はきちんと向き合えば、それほど恐ろしい病気ではなくなります。
ただし、病気から逃げていると大変なことになるかもしれませんよ。糖尿病の合併症は皆さんがご存知のように、本当に辛いものばかりですから。
まずは自分自身が糖尿病あるいは糖尿病予備軍でないか、確かめて下さい。
糖尿病であれば、病気ときちんと向き合い、自分に適切な食事および運動療法を医療機関で指導してもらい、必ず定期的に受診して下さい。
途中で受診しなくなり、かなり悪くなってから再び受診する患者さんをよく見てきました。定期的な受診は非常に重要だと僕は思っています。
糖尿病予備軍の方は、食事および運動療法を可能なかぎり実践して下さい。
そして、年に2~3回は検査を受けて下さい。最後にもう一度、糖尿病が心配な方は、まず糖尿病あるいはその予備軍かどうか確かめてみましょう。
いきいき生活通信 5月号
静かな殺し屋(Silent killer)
皆さんの血圧はどのくらいでしょうか。血圧は24時間刻々と変化するものですが、普段診療で評価しているのは、家庭での血圧です。測定する時間は、朝は起床後1時間以内(排尿後、食事前)、夜は就寝前(アルコールは飲んでいない状態)に測定してもらっています。朝は血圧が高めであり、朝に心血管イベント(脳梗塞や心筋梗塞など)の発生が多いことと、関連性が注目されています。また、夜は一日の平均に近いと言われています。ですから血圧が心配な方は、是非この方法で血圧を測定してみてください。血圧計は上腕にカフを巻くものが一番正確です。そして収縮期の血圧が140以上または拡張期の血圧が90以上であれば、あなたも立派な高血圧です。そして自問自答してみてください。
  • 塩分を摂りすぎていないか
  • 適度な運動ができているか。
  • 標準体重を超えていないか。
心当たりがあれば、これらのことを改善して下さい。場合によっては、かなり血圧が下がる方がおられます。ただし家庭での血圧が160/100mmHgを超えている方は、薬を併用したほうが良いと思います。毎日薬を内服するのは面倒だといって、症状がでるまで放置しておくと、取り返しのつかないことになりかねません。高血圧が静かな殺し屋(Silent killer)といわれる所以です。皆さんの血圧はどのくらいでしたか。
いきいき生活通信 4月号
花粉症対策
この時期にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状があれば、スギ花粉による花粉症の可能性が高いでしょう。現在国民の20%前後が花粉症と言われています。かなりの人たちが花粉症に苦しんでいるわけです。少しでも症状を和らげるためには、花粉と接触しないことが重要です。
  • 外出時にはマスクとゴーグルをする。マスクは隙間をつくらないようにピッタリとして下さい。また眼鏡でも有効です。
  • 花粉を家の中に持ち込まないように、帰宅時には外で衣服をはたいて少しでも花粉を落としましょう。
  • 洗濯物や布団などを屋外に干さないようにしましょう。
  • 花粉を除去できる空気清浄機も有効です。これらは自分でできる初期治療です。
症状の程度によりますが、これらの治療と薬物療法を組み合わせるのが一般的です。薬物療法は抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬の内服や点鼻・点眼が中心となります。花粉症があることがわかっている場合は症状が出はじめる前から使用すると更に効果があります。今年は例年より花粉の飛散は少なめですが、まだしばらく続きます。時に喘息様発作を起こすこともありますので、皆さん注意しましょう。
いきいき生活通信 3月号
風邪・インフルエンザに御用心!
皆さん、初めまして。インフルエンザの対策はできていますか。今年は例年に比べるとインフルエンザの患者さんは少ないですが、3月末までは油断できません。インフルエンザ対策(ワクチン以外の方法)として、
  • 抵抗力を高めるために、規則正しい生活を心掛けて下さい。
  • 咳や痰、くしゃみなどを介して感染するので、うつる可能性やうつす可能性のある時は積極的にマスクを着用して下さい。
  • 手から直接感染することもありますので、手洗いをしっかりして下さい。
  • ウイルスは低温・乾燥を好みますので、室内を加湿して下さい。
特に小さなお子さんがおられる家庭では、家族みんなで対策をしてインフルエンザに罹らないようにしましょう。インフルエンザ脳症は幼児を中心に毎年100~500人が発症し、急速に進行し、20%前後が死に至ります。予防することが大切です。また重症化しやすい人は、65歳以上の高齢者、心臓や肺、腎機能が低下している人たちです。このような人たちは、感染の危険性が高い場合、予防投薬が認められています。(ただし保険はききません)インフルエンザを流行させないために、皆さん一人一人が用心しましょう。
いきいき生活通信 2月号