神明クリニック

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コラム(2026年)

神戸新聞・折込の、地域の広報にあります「とことん、おおくぼ Okubo.com」の「ドクター西原のいきいき生活通信」で掲載された内容です。ぜひ皆様の生活にお役立てください。

2月号 かかりつけ医制度について
1月号 アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について

かかりつけ医制度について

 皆さんはご存知ないかと思いますが、昨年4月に国の方針で「かかりつけ医機能報告制度」というものが創設されました。恥ずかしい事に私、すっかり忘れておりました。

 何のことかと言いますと、ほとんどの医療機関が毎年1~3月に、かかりつけ医機能に関する研修を受けているかどうかや自院で診療できる疾患を都道府県に報告することになりました。今、まさにその時期なのです。
 更に、かかりつけ医としての機能を満たしていれば、電話対応も含めた時間外診療や在宅診療の有無、病診連携や介護との連携などについても報告しなければなりません。これらの報告内容は都道府県から皆さんへ公表され、皆さんは医療機関を受診する際に、その情報も参考にすることができるということです。皆さんが通院している、あるいはこれから通院しようとする医療機関がどこまで対応してくれるのかということを分かり易く情報公開しようということです。

 超高齢化社会において医療や介護の需要は増すばかりですが、国が私達町医者に期待していることは、各医療機関がかかりつけ医としての自覚を持ち、些細な健康相談からいろいろな症状や疾患に対する初期対応、そして専門病院への紹介や退院後の連携などを行うことで、効率よく切れ目のない医療を患者さんに提供する「家庭医」のような役割だと思います。今後ますますその傾向は強くなっていきそうです。
 限られた医療財源の中で現行の医療保険制度を維持していくためには、それが理想かもしれません。

 ただし、日本の医学教育はこれまで専門分野に特化する傾向にあり、家庭医を育てるシステムが整っていなかったように思います。家庭医を希望する医師が増えるような政策や医療改革が必要でしょう。
 現状は、これだけ医療が進歩して細分化されてくると、一人の医師や一つの科だけで老弱男女の種々の疾患を診ることは難しく、更に24時間365日対応することは一人ではとても無理です。内科は内科医としての、整形外科や眼科その他の科はそれぞれがかかりつけ医としての役割を全うするだけで精一杯かもしれません。

 現実的には医師同士は言うまでもなく、看護師や薬剤師、ケアマネージャーなどのコメディカルと協力して、お互いがスムーズに連携することで横のつながりを強固にして、その地域全体の医療を支えていくことが重要になるのだと思います。

いきいき生活通信 2026年 2月号

アドバンス・ケア・プランニング(ACP)について

 新たな1年が始まりましたね。早いもので、神明クリニックは開業してから20年目になります。プレッシャーも感じつつ、皆さんに頼りにしてもらえるように、これからもスタッフ一同、力を合わせて頑張って参りますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、当院かかりつけの患者さんもいつの間にか増えてきて、その中には大病を患ったり、介護が必要な高齢者の方も少なくありません。体調を崩して、近隣の病院に入院したりすることもしばしばあります。
 その際は大抵退院前に、入院先の病院で患者さんおよび家族そして多職種の医療従事者を交えて、退院後の医療や介護をどのようにしていくかということが話し合われます。具体的には医療従事者による専門的な病状説明やアドバイスを聞いた上で、患者さんと家族の意思決定がなされ、かかりつけ医である私のところへそれらの情報が提供されます。
 もちろん日常の外来で、そういったことを話し合うこともありますが、このように、あらかじめ「人生の最終段階においてどのような医療や介護を受けたいのか」について患者さん・家族(あるいは信頼できる人)と医療従事者が繰り返し話し合っていくことをアドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning :以下ACP)と言い、「人生会議」の愛称で呼ばれています。

 人生に対する考え方は人それぞれで、早期にがんが分かったにも関わらず、「私は治療せずにこの病気で最期を迎えます」とお亡くなりになられた方や延命治療を望まれる家族、諸事情により早々に高齢者施設への入所を決められる方や住み慣れた自宅での生活にこだわる方など様々です。
 そして、現代の超高齢化社会では、終末期を迎えた人の70%は意志決定が不可能であるとも言われています。特に認知症が進んでしまってからでは、その人の意志を尊重することすら難しくなります。
 私は昨年末に母を亡くしましたが、母は生前、人生の最終段階における自身の希望を口癖のように話していましたので、ちょっと大変なこともありましたが、家族が介護において迷うことはありませんでした。

 ACPのタイミングは、早すぎると不明確で、遅すぎるとACP自体が行われなくなるので、適切な時期に行い、決定事項は文章に記録しておくこと、そして変化に応じて繰り返しACPを行うことが重要です。
 皆さん、時々身近な人と将来の心づもり(ACP)について話し合ってみてはいかがでしょうか。

いきいき生活通信 2026年 1月号